大学入試での浪人に罪悪感がなぜあるのでしょうか?
僕は大学に1回落ち、大学院にも1回落ちています。
でも、その浪人していた頃の経験はその後の人生を素晴らしいものにしてくれています。
現役でもし合格していたら・・・今よりも確実に知らない事が多かったことだと思います。
だから、浪人して本当によかった。
でも、そう思えたのは僕がきっと浪人に成功したからだと思います。
だれでも出来る浪人ではないです。
浪人は長い人生の中で考えると大切なチャンスでもあります。
でも浪人が上手くできない人も大勢いるだろう・・・
そう感じるから現在浪人をされている方々に伝えたい、と思いながら書いてみますね!
僕は自宅での浪人で比較的自由になる時間も多く、予備校に通われている方とは状況が違うかもしれません。でもきっと共通するようなこともあると感じております。
あなたの人生が晴れやかに前向きになれることをお伝えできれば幸いです。
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目次
浪人に成功する5つの秘訣
僕が合格した大学は東京芸術大学です。もう20年も前の事になります。
でも、この記事では芸大にどうやって合格したか?ではなくてどの分野の大学でもきっと共通しているだろう事について書きたいです。
受験のテクニックではなくて、どうやって浪人の時間を使って、どうこの貴重な時間について想い、どうやって自分の能力を高めていくのか?そんな5つの秘訣をお伝えしたいです。
秘訣① 偶然上手く出来た事をもう一回繰り返してみる
浪人生は、予備校や塾に通う人と、自宅で浪人する人(いわゆる宅浪)とに分かれます。
僕の場合は予備校などに行く代わりに、月に一度くらいで先生のご自宅などでのレッスンを受ける形でした。そのためほとんど制約されることがなく、自由な時間が多かったと言えます。
高校の時は学校に通いながら、わずかな空き時間に専門(音楽)の練習や勉強をしていましたが、浪人してからはしっかりと取り組む時間ができました。
不思議なもので一人っきりの時間が多くなると、落ち着いて考えたり観察したりするようにと、自然にこうなっていく感じなんです。
⇒なぜできたのか考える
⇒理由がわかってもう一回試したくなる
⇒確実にできるようになり成功する確率が上がる
そんな感じで物事がわかるようになっていきました。
予備校でのことは僕は良くわかりませんが、高校より自分の時間が取れるのは同じだと思います。
授業の中で学ぶことももちろん大事ですが、少し時間の余裕ができた中で自分を見つめ直し、自分流の方法が見つかった時の感動はとても大きいと思います。
秘訣② ライバルから「できる理由」を見つける
そんな気付きの瞬間を感じながら受験勉強をしていた僕なのですが、ゆっくりと焦らないで自分自身やライバルの事を観察する癖も浪人生活があったからこそ得られたことだと思います。
なぜ、出来たのか?
なぜ、出来なかったのか?
あいつはなぜ出来るのか?
あいつはなぜ出来ないのか?
実際に気が付いたことを試してみて、出来た感覚があるうちに録音をして休憩中に何度も聞き直し、客観的に聞いてみて効果が上がっていることを確認しながら練習を続けました。
そうすると、レッスンなどで先生が模範演奏を聞かせてくれた時に、先生の演奏や話の内容やその姿をずっと観察するような癖がつきました。もちろん、同じような浪人生の友達の演奏も深く観察するようになっていきました。
その観察を続けていき何が解るかというと
「その人ができる理由」はもちろんですが、
「その人ができない理由」
も気が付くようになってきました。
”出来る理由と出来ない理由”
はどちらも同じなんです。
○○が解っているからできる
○○が解っていないからできない
失敗と成功を繰り返し行ってそのどちらも理由探しをするような観察癖がついてから、本当に勉強や練習が楽しくなってきました。
これもきっと、自分に自由な時間が多くあったからこその気付きだと感じます。
もちろん人それぞれ、浪人中の自由時間に差はあるでしょうが、ライバルを見つめそこから学ぶゆとりは、高校時代よりはかなり取れるはずです。
秘訣③ 自分らしい生活ペースを作る
浪人して初めて気が付いたことなのですが、学校に通っていると時間割があり登校時間も決まっていますよね。お昼の時間も部活の時間も。
そんな生活を保育園から高校までの長い間過ごしてきました。当たり前の事ですよね!
でも、僕の浪人生活にはバイト以外はどこにも制約されていない生活だったので、初めて全く制約のない生活を体験できました。
これってもしかしたら一生で一度の出来事かもしれません。
就職したら、もちろんいろんな時間的な制約や社会人としての立場の制約もあるかもしれません。
今から思えばお金も立場もプロフィールも何もないけど、失うものも何もない。時間も豊富にあってほとんど全てが自分に任されている。
もちろん、ご飯や生活、また精神的なサポートをしてくれていた親への感謝の気持ちは本当にありました。
だから”うしろめたさ”を感じながらの浪人生活ではあったけれど、本当に時間の制約がない生活は新しい経験でした。
だから不安にも感じたし「毎日の生活を良いものにしなくては!」
という生活習慣や計画性、時間割を自ら作り守ることの大切さを学びました。
これが出来なければダメ人間になってしまう・・・
というダークゾーン(ぐ~たらな生活)には行ってはダメ!のようなものを日々感じながら、自分流の充実感を得る毎日のペースの作り方を学びました。
秘訣④ ”自分だけの上手くいく時の条件”を見つける
どうしたら出来るようになるのか?という観察と、ダークゾーンに行かないようにする為の計画的な生活の2つの習慣がついた頃が浪人生活が始まり1か月程度経った頃だと思います。
その頃に気が付いたこととして、自分の中にいつも真ん中を指し示すメーターのような基準が出来ました。
いつも同じ内容を繰り返しを行う勉強や練習を行えるようになると、なぜか
いつもより調子が良い
いつもより調子が悪い
などのいつもと違う事を細かく感じ取ることが出来るようになります。
まるでいつも真ん中を指し示す心や身体のメーターが
今日は右に振れている
今日は左に振れている
と教えてくれるような感じです。
そう感じることが出来る理由は、もちろん落ち着いて自分自身を観察する癖がついているからなんです。
例えば調子が悪い時は
”新しい奏法を試しているから”
”昨日は用事があって寝不足だったから”
などです。
そんな理由を感じた時に、悪くなったことは止めてみる。そうするとまたいつもと同じように調子が戻ってくる。
そのようなトライ&エラーを繰り返し行ってみると
”自分だけの上手くいく時の条件”
を見つけることができるようになります。
この貴重な条件を満たす事をまた繰り返すと調子が上向きになり向上出来ている事を実感して精神的に安定していきます。
自分の基準(メーター)が明確だからこそ、今どうなっているのか?が解り良くなっている確信を持てることだけを続ける。
それが好循環を作り出せる方法なんです。
毎日がとても充実感に溢れて元気になって浪人生活がとっても楽しく感じられました!
秘訣⑤ 自分を磨く孤独感を身につける
この自分の基準を指してくれるメーターを作る為にもダークゾーンに踏み込まない為にも、いつも自分が納得できるような行動を毎日同じように繰り返す事がとても大切になります。
でもこの生活習慣の確立をする為には下の不合格体験記にも記しましたが、ダークゾーンを感じたり遊びまくったり、とにかく”自分がダメになる”という体験をして
這い上がりたい!
何とかしなければ!
という自分から静かに噴き出してくる物を感じた時に僕は生活習慣を考えることができました。
”誰からも制限されない”
という自由とは、実はとても辛いことでもあります。
”自分自身を自分流で積み上げていく孤独感”
が浪人生活の一番の素晴らしさでもあり辛いことでもあります。
でもそんな貴重な体験ができるのは今しかありません。
僕は浪人をして本当に良かったと感じることの一つとして、
”ある時期の孤独感”こそが心も身体も大きく成長させる事だとも感じました。
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>不合格体験談
では、僕の体験を思い出しながら書いてみますね。
18歳の高校生だった頃から、合格した19歳までの受験体験記になります。
大学に不合格になった現役生の頃
高校生だった僕はとにかく楽器が世界一上手くなりたくて、日本で一番上手い人が集まると言われている芸大にまずは入学することを思っていました。
自分は地元では上手に演奏できる方ではあったので、もちろん現役で合格するかもしれない・・・とその当時はぼんやりと期待をしながらの受験でした。
音楽の大学受験の一般的な方法は、プロで活動されている音楽家に弟子入りをして、入りたい大学の教授にも習います。その他ピアノや音楽理論、楽譜の読み方、書き取り方などソルフェージュというものもそれぞれの専門の先生に習ったりもします。もちろん数値化される模擬試験などはなく、自分が合格する確率を事前に図る方法もありません。
そんな受験でしたが、なぜか僕は合格できるかもしれないとぼんやりと思う田舎者で井の中の蛙状態でした。
不合格になって気が付いた事
「世の中には自分より上手い人が大勢いる」
謙虚にそう感じました。
コンディションが悪かったわけではない。
努力は自分なりには出来ていた。
だから単純に
こう思いました。
音楽の勉強も大学に入るための受験勉強も、医者や弁護士になる為の国家試験、もちろん様々な資格試験も根本的には全部同じだと思います。
これがなければ浪人生活は本当にグレーで辛い時間が永遠に続いてしまいます。
浪人するようになって直面した初めてのネガティブ体験
芸大に不合格になり寂しく東京観光をしてから実家に戻った僕が3月、4月頃に不安に、ネガティブに感じた初めての体験がやっぱりあります。
きっとどんな分野の方も感じるようになる事ばかりだと思います。
周囲から見られる目が気になる
もちろん合格発表があった日には両親やお世話になった音楽の先生方に不合格の連絡をしました。
「準備の時間が足りなかっただけだからまた頑張れ!」
そんな暖かい言葉をかけて頂き、本当に励まされました。
で、しばらくして両親や先生方以外の方々に会った時に、
「受験どうだった?」
のように直接聞かれるのではなくて、
”どう言葉をかければよいのか・・・”
のような表情でなんとなく会話が進み、
「そっか、また頑張んな!」
とか、
「お!浪人生!!」
みたいに元気に話しかけてくれたり、、
いろんな方との不合格になった最初の会話が本当に微妙な空気が流れていることに戸惑いました。
同級生や後輩から見られる目が気になる
これもやっぱり不合格になってからの初めての会話での事です。
母校の高校部活の3年生を送る会的な送別会に出席して、やっぱり話題は
大学に合格した同級生に後輩から
「おめでとうございます!」
「凄いですね!」
「また地元に帰った時は遊びにきてください!」
など、とても良い雰囲気なのですが、
大学に落ちた僕の手前、後輩も気にしてくれている雰囲気・・・
みんな優しい後輩たちなんです。
でも、僕としては
”先輩としてのメンツを保たなければ・・・”
のようなどうすることもできない、罪悪感のような、劣等感を感じてしまいました。
高校の旧担任に不合格を報告したときの嫌な思い出
受験があり卒業式にも出られなかった僕はまだ卒業証書を貰っていなかったので、部活の送別会の日に旧担任のところに結果報告と卒業証書を貰いに行きました。
旧担任は僕にとってあまりウマが合わない存在で、出来れば会いたくない先生だったのですが案の定・・・
「そうか~落ちたか~」
「ああいう大学は5浪6浪しても入れないんだろ~」
「まあお前もなぁ(無理なんだろう~)」
のような笑いながらの返答
僕”今に見てろよこのヤロ~!”
と心の中で怒りに震えておりました。
どこにも在籍していない事
高校生の時までは毎朝
「いってきま~す!」
と言って元気に登校していた学校。
生まれて初めてどこにも所属していない立場なんです。
どこにも行けない・・・
自分は何者?
どこに行けばいいんだ?
という初めての感覚がありました。
一般的には浪人生は予備校や塾に通うのかと思いますが、僕が目指していたのは音大や芸大なので予備校に通うのではなくて、師匠やピアノの先生の所なんです。
もちろん毎日ではなくて月に1回程度東京まで新幹線に乗ってレッスンに通います。
だから、ほとんど毎日家にいる。
という毎日でした。
幸い、我が家は音楽教室を営んでおりましたので、父から様々音楽を教えて貰える環境ではありました。
でも、どこにも所属していない孤独感がやはり浪人の罪悪感のように感じました。
でも父が今のうちに車の免許を取っておけ、と温かい言葉をかけてくれて1か月くらいゆっくりと免許を取りに出かけることができて
毎朝、
「学校に行ってきま~す」
と自動車学校に所属している、一応学校に所属しているっぽい雰囲気に多少救われました。
どうやって毎日を過ごそうか?
僕の場合は予備校や塾に通うことは音楽大学なので必要ありませんでした。もちろんセンター試験も必要でしたが、自分で参考書から勉強しようと考えておりました。
それよりもお金が必要になってくるのはレッスン代でした。
月に1回程度、東京まで新幹線に乗って移動してホテルに泊まって2日かけて2人の先生から音楽を学ぶ。そんなレッスンを受けながらの浪人生活なのでやはり、ほとんど家にいます。
でも、5月頃までは自動車学校にも行っていたので本腰を入れての受験勉強はしていなかったです。この暇で自由な時間を楽しもう、という感じでバイトをしながらそれなりの勉強をしていました。
9:00 自動車学校
12:30 帰宅 食事
14:00 近くのホールのロビーか家で練習
18:00 帰宅
19:00 バイト
21:00 帰宅 勉強
23:00 就寝
こんな感じですね。
でも、浪人に突入して4月末頃には毎日の生活に絶対に必要なことは、
規則正しい計画性のある生活
であることに本当に気が付きました。
ぼけーっと時間が過ぎて行く恐怖心があるからです。
この自由さ、というか日差しが暖かく穏やかな日中にふら~っと家にいることの罪悪感というか孤立感がだんだん恐怖心に変っていきました。
だから、その恐怖心を肯定するには、
規則正しい計画性のある生活
を決めて行動することが唯一の恐怖心から救われる手段だと感じていました。
5月半ばからは自動車学校も終わり、僕自身も規則正しい生活の意味が解ってきました。
だから
9:00 勉強(国語や英語など筆記勉強)
10:30 ソルフェージュ訓練(父からのサポート)
12:30 食事
14:00 近くのホールのロビーか家で練習
18:00 帰宅
18:30 地域のスポーツジムにて筋力トレーニング or バイト
19:30 帰宅 食事
21:00 ピアノやその他の音楽理論などの勉強
23:00 就寝
こんな生活を続けることが出来ました。
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浪人生活を終える頃
僕は1浪して芸大に合格でき、私立の音楽大学には奨学金付きで合格できました。
芸大は3次試験まであり私立大学を含めると試験期間は1か月と長い期間でした。
でもその間、気力体力ともに充実できたのはこの浪人生活がとても充実したものだったからだと思います。
もちろん一番に感謝しているのは僕を支えてくれた両親や家族のサポートです。
とにかく、伸び伸びと浪人生活をさせてくれて暖かい言葉や笑顔、金銭的な援助も全て家族がしてくれました。
とても大きな学びがこの浪人生活にありました。
入学して解ったこととして、大学の同級生や先輩達は音楽に対して本当にまじめで上手くなる事に対してとてもストイックでした。
自分よりも上手い人がたくさんいて、自分よりももっと練習する人もたくさんいて、自分よりももっと遊び方を知っている人もいて。
特に先輩方は偉大でとても大人っぽい雰囲気を持っていました。
現役で入っても浪人して入っても、心も技術も身体もある一定の水準に達していなければ入学してもダメ。
自分自身や周りを熱心に観察して、勉強すべきことが解って自分自身を一歩一歩積み上げる事が出来た事をみんな出来たからこそ、みんな上手いんだ。
入学出来て良かった。浪人出来てよかった。
もし運よく現役で合格していたら・・・危ない。
そう感じた19歳の自分でした。
あとがき
ついこの間のように感じる浪人生活ですが、こんな僕も今では受験生を教えたりしています。
どうすれば大学に合格できるのか?よりも
自分自身の成長の結果に大学合格があり、大学合格はただの通過点に過ぎません。
今は大学を選ばなければ誰でも入学することができる時代と言われていますが、だからこそ自分で選んだ方が良いと思います。
大学に入る人の流れを知ることは大切だけど、人の大きな流れに流されて自分自身を一つ一つ積み上げる体験をしないで次の世界に飛び込むことは、あまり自分の成長に繋がっていないと感じます。
”若い時の苦労は買ってでもせよ”
という諺がありますが、本当にそう思います。
どんな苦労でも必ず出口があります。
乗り越えるのか迂回するのか反対の道を探すのか、どれでも良いと思います。
でも、自分だけの時間でゆっくりとそれを考える時間を与えられ、行動できた事が本当に幸せに感じます。
やるだけやって、もっとやって、それでもダメでもその経験は自分自身を成長させてくれた宝のようなものです。
そんな充実して自分を褒めてあげられるような浪人生活だったら、どんな大学に入ったとしてもきっと後悔はないと思います。
きっとあなたの人生はこれから素晴らしい出来事が待っていますよ!
そんな風にポジティブに考えることができるようになったのも、誇りに思える浪人生活があったからだと僕は思います。
ありがとうございました。
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